寄生獣ファンの作った『寄生獣 -ザ・グレイ-』シーズン1を原作の寄生獣ファンが観た感想

 ついに公開された韓国版寄生獣こと『寄生獣 -ザ・グレイ-』をさっそく観てみた。導入としては本家同様で、脳を奪い取ることができずに半端な状態で寄生してしまった寄生獣と主人公(チョン・スイン)が運命共同体になって生きるというもの。

 本作を担当するのは『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督。人間ドラマや化け物の描写について心配することはない。仮に心配すべきことがあるとすれば、原作を意識しすぎて焼き直しにならないか。しかしそんな心配は無用だった。

 本家との違いは主人公が男性ではなく女性であるということ。しかし、これはそこまで重要ではなく、もっと重要でストーリーにも大きく絡むであろうポイントがある。本作主人公の寄生獣は脳内で会話できず、1日の活動時間もたったの15分ほどしかないのである。

 1話では主人公の日常と変化に加え、もう一人の主人公ともいえるある男の情けない姿も描かれる。主人公はそこまで気が強くもない普通の女性のため、あまり戦いには向いてない。男の方も微妙だけども、2話では割と強い(なんで一話であんなに情けないのかと思うほど)のが分かる。

 寄生獣専門に結成されたグレイチームはそこまで圧倒的な強さを見せることもない。けれども本家で制圧作戦を実行した時に近い実力はありそう。規制された人間は本家同様に無感情で同種に対しては友好的。行動が早く、地球に降り立って数か月後には共生するための組織まである。

 雰囲気的には原作に近く、どこか暗く冷めた人間が多い。しかし一人だけ、グレイチームのチーム長を担当している女性のみは妙にハイで狂っている。ただ元々そうなのか、チーム長になる辺りで起きた出来事が原因でそうならざるを得なかったのかは1話時点だと分からない。

 期待していたアクションや人間模様の表現自体は及第点以上で、残念だったのはCG。こちらも駄目って程ではないものの、見るからにCGと分かる(質感がその環境に馴染めていない)シーンと出来のいいシーンがあり、残念なCGの時だけはがっかりしてしまう。

 古い映画でCGでもないが、『学校の怪談』のインフェルノ(用務員)は今観ても非現実的なものをうまく現実的なものへと消化しきれていた。CGでは厳しい場面なんかは特殊メイクとSFXをがっつり駆使して違和感を減らして欲しかったなあというのが正直な感想。

 とはいえクライムドラマやスプラッター、化け物なんかをテーマにした作品としては十分楽しめる。粗探しをするつもりで観ていたらどこかしら気になる点もあるかもしれないが、最初から娯楽作品として楽しむつもりであれば満足できるはず。

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